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【受験の真実】人は蹴落とすな 

いつもお読みいただき、ありがとうございます! この記事は特にじっくり考えながら読んでほしいので、長くなりますが、行間多めにとって書いていきますね。

目次

はじめに

小中高大と入学試験を経験し、入社試験も経験し、その後起業してある程度自分のやりたいことを好きなようにやってきた40代男性(香山)が、進路選びに対する考えを書きます。

真実1 自分に克てば受かる。仲間を蹴落とすな

僕が昭和の競争社会に育ったからかもしれませんが、人を蹴落として志望校の定員の中に入れというような言われ方をしてきたように思います。そう言われるのを聞きながら、僕自身は違和感がありました。そして、公然と人を蹴落とすことはできない性格でした。かといって、裏工作をすることもなく、ぼんやりと受験時代を過ごしていたように思います。

この違和感をずっと考えていましたが、40歳を超えたくらいで学習塾を主宰しながら思ったのです。受験とは、自分に克てば受かる。人を蹴落として上に上がることではなく、弱い自分の心に克てば受かるのだと。弱い自分の心とは

・わからないことをそのままにしてしまう自分
・わからないことを、そもそもわかりたいと思えない自分
・何に自分の興味関心があるのか知ろうとしない自分
・興味があるのは偏差値表で、常に人との比較の中で生きている自分
・自分自身にたしかさや自信を持てない自分

そういう自分に打ち克つことで、進路は自ずと開けると思います。

真実2 受験は、親離れの絶好のチャンス!

「自分自身にたしかさや自信を持てない自分」に気づいた時、その根っこはどこにあるのか。これも僕は15歳や18歳の受験の時には発想もなかったことですが、幼少期の親子関係に根っこがあると大人になってから思いました。

いま、この記事を読んでいる中高生には、ピンとくるでしょうか。親は素晴らし、尊敬に値する、と思っている人には、上の空かもしれませんね。でも、例えば、こんなことはありませんか?

・お母さんはいつも小言を言ってくる。最近、褒められたことはない
・親の期待に応えることが親孝行だと思っている
・自分の気持ちを親に話したことは、いつのことか思い出せない
・親の「こうしなさい」「こうすべきだ」という声に敏感に反応している
・親の機嫌が気になって仕方ない・親の機嫌がいいと安心する

まだ衣食住を親に守ってもらっている年齢では、このようなことは当たり前だと思っている人がいれば、はっきりと言いたいのですが、当たり前ではありません。あなたは親の下請け的な存在ではなく、独立した一人の人間です。

受験を控えて親の声が余計に大きく聞こえるなら、その声に無条件に服従している自分はいないか、振り返ってみてください。服従は依存です。しかし、依存心のある人は、何をしてもうまくいきません。学力考査は自分一人で受けるのです。親の指示命令は、試験問題の前では飛んできません。依存心を断ち切って、甘えられる親はもういないと覚悟を決める絶好の機会が、受験です。

依存心を断ち切るとは、親に反抗するとか、衣食住を頼らないことではないし、家出することでもありません。自立は、心の中でできるもの。

親への返事は「うんうん」と言っていようとも、心の中で、自分の人生のこと、自分の好きに従って決めることは出来る。今は、ネットでなんでも調べられる。もちろん、本でも調べられる。自分の「好き」を探究することは、親から精神的に自立をするとても大切な一歩です。ネットの情報の何を選び取り、何を無視するかも、自分で試行錯誤しながら嗅覚が働くようになります。

真実3 進学先に優劣はない

どの学校も、その学校なりの特色を出そうとして、より良い教育を提供しようとして頑張っています。その学校に受験産業界は偏差値というものさしでランキングづけをしました。偏差値は上が良くて、下が劣っていると思われてしまいます。

学習塾を主宰して、多くの学校の受験問題を俯瞰して思うのですが、そのランキングは、抽象的思考力のランキングとも言えます。偏差値の高い大学は抽象度の高い内容を問い、偏差値の低い大学は抽象度の低い、具体的な内容を問うているように見受けられます。国語を例にすれば、「正しさとは何か」「悪とは何か」というテーマの文章を偏差値的に言うところの難関大学は読ませます。抽象度マックスです。

そういう大学を出て、例えば鉄道の運転士になれる道は狭い。運転士は、実務(具体)を磨く必要があり、鉄道学校などの道が用意されています。畜産系の高校では牛を飼育しますが、農業大学などではその理論や計画など、より抽象的な観点で学びを深めます。

これは、どちらが優れているかという問題ではないのです。どちらが好きか、何をしたいかという問題です。世の中を偏差値ランキングで見ると、苦しむのは自分です。狭い見方、偏った見方は、自分の心を狭く、偏ったものにします。

優劣ではなく、好きなことをそれぞれが追求するのだという意思が進路です。好きなことが途中で変われば、学び直したり、変更したりすることもできます。

真実4 できないことは、自分を知ること

自分がわからないという人でも、自分ができないことは何か? できることは何か?を知ることはできると思います。学校では一律の勉強を強制されていますが、それを通して何をしているかと言えば、どこに自分の適性があるかを理解しているのです。

もちろん、最初は誰もできません。それを「できるようになりたい!」と思えるのか、そのままやり過ごしてもいいや、と思うのか。学校はできないことができるようになった子どもを評価します。

でも、「できなくてもいいや!」と思う子は、そこに自分の必要を感じなかったり、もっと違うことに興味があると感じていたりする可能性があります。できない自分を責めないことが大事。できないこと、やりたいと思わないことは、素直にそう受け止めて、劣等感を抱かないことが大事です。

劣等感を抱くとは、人と比べているのです。それが嫌なら、やればいい、できるまで。そう思えないなら、そこにあなたの適正や興味はないと、黙ってやり過ごすのも手です。

真実5 自分を知り、自分を生きる

受験は、人との競争と思っているうちは、緊張と苦しみしかないように思います。そうではなく、自分の得意を知り、それをうんと伸ばそうと思えるなら、これほどのチャンスはありません。

学習面だけではなく、学習を支える自分の精神の成熟も感じられてきます。親に依存していないか、誰かと比較して優越感に浸っていないか、誰かを蹴落としたいと思っていないか。こういう問題に一つひとつ向き合うことで、自分の心を省みて、自分の精神を成熟させることができます。

これは綺麗事ではありません。自分の弱いところを抑え込むのではなく、向き合う機会です。そうしなくても、運よく目先の試験にパスするかもしれませんが、40歳も超えると、精神的な成熟度が生き方に出てしまいます。

うまくいかない人は、人に負けたのではなく、自分に負けたのです。狭い価値観で世の中を見ているので、自分の心を狭くしてしまって生きづらいのです。全ては、自分の心が決める。そのことを知るにも、受験はいい機会です。

受験と向き合うことは、自分と向き合うことです。自分の弱さを知り、向き合うのです。向き合ってみて、違和感や無理、軋みを感じる人は、その弱点を知り、超えてゆくチャンスです。人を蹴落とさず、自分に克つことで乗り越られるのが受験です。

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この記事を書いた人

「満点国語」を標榜した国語単科塾を主宰。毎年のように、高校生に模擬試験や大学入試センター試験で、現代文満点を出しています。生徒を実際に教えながら積み上げたノウハウを、ウェブでも公開いたします。

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